拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

小田川大典・五野井郁夫・高橋良輔編『国際政治哲学』(ナカニシヤ出版、2011年)

国際政治哲学 (Nakanishiya Companions to Social Science)

国際政治哲学 (Nakanishiya Companions to Social Science)

読んでおきたい。以下メモ的に引用を。

だが、M・ウォルツァーがいうように、国際政治哲学は20世紀の半ばにおいて、もう一つの厄介な壁に直面することになった。それは「〜するべきだ」とか「〜するべきではない」といった道徳的な判断の一切を、客観的な現実によっては検証することのできない、たんなる主観的な情動(エモーション)の表出と見下す情動説(エモーティヴィズム)の哲学とそれを基盤とする実証主義の台頭である。この見方によれば、国際政治において語られるべきは客観的に検証可能な仮説のみであって、道徳的推論は、その検証不可能性と主観性において、「このシャンパンは美味である」などといった感想と等価だということになってしまう。
 だが、はたして道徳的推論は、主観的な情動の表出にすぎないのだろうか。(「はじめに」、iii)

長くなるのでこれくらいに。小田川さんの「はじめに」を、私は「そうだよなあ」と頷きながら読んでいます。