役に立つ英文学
もう四半世紀前になりますが、「なんで英文学なんかやっているの?」と尋ねられて、明快に答えることができなかった私は、博士論文まで書いて、英文学が役にたった具体例を調べたのです。例えば、日露戦争のとき、『英語青年』は頑張って戦意高揚をやりました。中野好夫はのちに自らを戦犯だったと公言する位には、英文学者(翻訳者)として、イギリス人によるイギリス(西欧)批判をがんばって翻訳・紹介しました。ただ、私は、こういう実例を調べるうちに、その時々の人々が「役に立つ」だろうとして世に出したテキスト群が「役に立たなかった」こと、原著者の意図を裏切っていったことも論じた、つもり。
というわけで、宮崎さんのご著書と、拙著を紹介しておきます。大学の図書館では入れてあるところも少なくないでしょう。
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ところで、こうした人たちが「役に立つ」と考えて世に出したテクストも、やはり原著者の意図を裏切る形で機能した場合もあるだろう。そこはちゃんと見ていきたい。