拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

『憂鬱なる党派』は(私には)面白い

いま、院の授業でゆっくり読んでいる(Eliot, "Ash Wednesday"なんかが引用されているのだった)、原爆文学という枠で(も)論じられる高橋和巳の『憂鬱なる党派』(1965年)は、広島で被爆した主人公の西村が(一応伏せてあるが)京都大学で英文学を研究し、その後京都の被爆者の文集を編集していたりはするものの、原爆「展」の責任者になることは拒否しているシーンなどがある。いま少しずつ勉強している「核時代の英米文学者」というテーマと関わっていて面白い。もっとも作者の高橋は京大でも中文なので、小説中の西村の「英文」という設定は「中文」と読み替える必要があるのかもしれないけれど。