拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

コンラッドとラテンアメリカ文学(『コスタグアナ秘史』読書メモ))

「訳者あとがき」から読む悪い(?)癖がある私。訳者、久野量一さんはこう書いていらっしゃる。

そもそもコンラッドラテンアメリカ文学というと、ホセ・エウスタシオ・リベラ『大渦』やオラシオ・キローガの一連の短編、あるいはアレホ・カルペンティエル『失われた足跡』といった作品に『闇の奥』とのかかわりが指摘されている。ボルヘスの短編「グアヤキル」(『ブロディーの報告書』所収)では『ノストローモ』そのものがほのめかされ、二十一世紀に入ってからはバルガス=リョサが『ケルト人の夢』でコンラッドに挑んでいる。(315-316)

私が読んでいるのはカルペンティエルだけだなあorz。
久野さんによるコンラッド話はもう少し続くが、それは読んでのお楽しみ。コンラッド作品には変な力があるのだなあと思います、はい。

コスタグアナ秘史 (フィクションのエル・ドラード)

コスタグアナ秘史 (フィクションのエル・ドラード)

(追記1)
バルガス=リョサケルト人の夢』についてのブログ記事を見つけました。URLを貼っておきます。
http://blog.goo.ne.jp/kenjim81312/e/c844712710dc3de5c128071ae13f0515
http://blog.goo.ne.jp/kenjim81312/e/9a0fe7c8704d5041a542ddcdb2596888
http://blog.goo.ne.jp/kenjim81312/e/d7cb9d38008edf1a3c25aa7ea9c764f9
http://blog.goo.ne.jp/kenjim81312/e/19ee8455e25728b18cb3dba7ec59607d
ついでに書いておくと、英訳のThe Dream of the Celtはわりと簡単に手に入ります。これは読んでおかないと…。

The Dream of the Celt

The Dream of the Celt

(追記2)
FacebookでNさんに以下の論文の存在をご教示いただきました。久野さんの「訳者あとがき」で提示された問題をさらに深く学べる論文です。
西成彦アメリカ大陸は東欧ユダヤ人と先住民が出合う場所 : 『密林の語り部』試論」、『れにくさ』(現代文芸論研究室)第4号、2013年3月29日、pp. 132-150
http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/2261/54175