拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

『フェミニズムが問う仏教』

来月四日からの授業で使う教材を物色しに、池袋のジュンク堂に行ってきた。結局、期待していた書籍はあまりなかった。しょうがないので、適当に本棚を見ていると、源淳子『フェミニズムが問う仏教――強権に収奪された自然と母性』(三一書房、1997)を発見した。以前から読もうと思っていた本だったので、早速購入し、帰りのバスの中で読み始めた。

フェミニズムが問う仏教―教権に収奪された自然と母性

フェミニズムが問う仏教―教権に収奪された自然と母性

主張は難しくない――仏教がもたらした「自然」概念は、様々な社会矛盾や対立項も、結局は同一なのだという了解を普及する役目を果たした。これは「和」の論理であり、女性(そして男性)の「個」の確立を目指す論理とは相容れない、というわけだ。
実証的研究の裏付けは十分ではない。文章は洗練されていない。闘争的な書物に付き物の臭みもある。それでも、こういう果敢な批判の書があるということは覚えておくべきである。中沢新一の本ばかりを読んでいてはいけない。
大越愛子・源淳子・山下明子『性差別する仏教――フェミニズムからの告発』(法藏館、1990; 1994)も購入した。
性差別する仏教―フェミニズムからの告発

性差別する仏教―フェミニズムからの告発