拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

2004-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「京城帝大文科伝統と学風」、『英語青年』1959年

京城帝大には、きわめて厳しく選ばれた少数の入学者で成立した予科があり、従って文学部へ来る学生は少数であっても英文科へ集まる学生は一番多い方で、秀才も少なくはなかった。殊に、朝鮮人学生の優秀なものが集まったのは、帝大の名にあこがれたというよ…

「氷窓に倚りて」、『国民文学』、1945年

朝鮮に過した長い歳月の間に、徐々に、私の目をあけてくれた事物は少なからずあるが、そのうちでも、一番私にとってありがたいと思うことは、日本を見る観点の移動であり、この移動された観点から見た日本そのものの姿の新しさである。ヨーロッパにいて、日…

「英文学というもの」、_English_、1949年

佐藤が考える英文学とは次のようなものです。 それは、ミルトンに源を発して、一八世紀に至って、高潮に達した「自由」を追求する文学の流れである。(中略)この流れは、バーンズ、クーパー、ワーヅワース、ブレーク、コールリッジ、シェリー、キーツ、バイ…

筑波大電子図書館に博論要旨をアップ(予定)

ということで、早速申込みました。博論全部をスキャナで読み込んでPEFファイルで公開もできるとのことでしたが、私は一応博論を出版する予定なので、それはやめました。でも、修士論文なら公開してもいいかなと思いました(恥さらしになりますが)。週末…

私費

筑波大学文化批評研究会編『〈翻訳〉の圏域──文化・植民地・アイデンティティ』(筑波大学文化批評研究会、2004年)この590頁を超える論集が10冊届きました。重いっ! 私は「済州島のロビンソン」なる論文を寄稿しました。他にも注目論文がたくさん…

学位授与式@筑波に行って来ました

25日、筑波大学にて学位授与式があったので、行ってきました。まあ人の多いこと。大学院修士+博士で1000人くらいでしょうか。すごいなあと思いました。で、東京のホテルに戻り、北条文緒『翻訳と異文化』(だったかな)というみすず書房の本を読んで…

佐藤清『ポープ研究』(西洋藝文雑考)、京城帝國大学法文學部、1933年

ロマン派が好きな佐藤の古典主義者ポープへの評価は微妙な感じです。 ポープは智的な鋭利な観察者であり、最も真実な感情の所有者であり、更に、異常なる韻律の美の創造者であつた。我々は彼の作品が證明する所のこれらの事実を否定することができない。(p.…

『英語青年』4月号と5月の英文学会@阪大

前者ではアジアの英文学教育についての連載が、後者では日本の英文学教育のシンポがあるという具合で、〈英文学〉への問いがいよいよ先鋭化してきた感があります。そういうわけで、Derrida, _Glas_を読む、というか眺めてみようという気持ちになったのです。

佐藤清『エリオット』(岩波講座「世界文学」2〔近代作家論〕)、岩波書店、1934年

佐藤清はやはりエリオットには否定的だったようです。 近代の「荒地」は、此の詩の支離滅裂と思はれる所にあらはれてゐるが、その支離滅裂は更に作者の博学と多くの引用に依つて読者を悩ます。(中略)余りに意識的であり、余りに多くのものを意識してゐる。…

Jacques Derrida, John P. Leavey, Jr., and Richard Rand, trans., _Glas_, U of Nebraska, 1986: 1990.

どうせ全部なんか読めないよなあと、一番最後の頁だけちらっとみたのですが、次のような文章がありました。 A time to perfect the resemblance between Dionysus and Christ. Between the two (already) is elaborated in sum the origin of literature. Bu…

Derrida, _Glas_を注文しました

どうしても気になっている本なので、思い切って購入することにしました。ところで、この英語版が高いの何の、9000円もする!ブツがブツだから、これは人件費がかかった翻訳なのだと自分で納得しようとしていますが・・・。(3月30日、_Glas_が届きま…

The Crusaders, _Way Back Home_

クルセイダーズといえばいわゆる「フュージョン」の代表格なわけですが、先日ゴンチチの番組で'Crossfire' (_Unsung Heroes_, 1973)という曲を聴き、大変さわやかな気持ちになったので、この_Way Back Home_というCD4枚組セットを購入したのです。いやあ…

寄贈

筑波大の院生、笹沼俊暁さんから博士論文「近代日本と「国文学の諸相ーー1920〜40年代における「国文学」研究の言説をめぐって」のファイルを送って頂きました。ありがとうございました。

アーニャ・ルーンバ著、吉原ゆかり訳『ポストコロニアル理論入門』(松柏社、2001年)

実に久しぶりの読書。入門としては少し高度か。結論は次のようなもの。 サイードの『オリエンタリズム』も、フーコーやデリダの方法論と、グラムシの社会改革への意志とを無理に組み合わせようとするものだとして、似たような批判にさらされてきた。批評家の…

新しいパソコンの設定に悪戦苦闘

ということで、昨日は一日終わってしまった。今日も土曜日だけれど学校に出てきてあーでもないこーでもないとやっている。詳しい人にやってもらえば一発でできるのは分かっているのだけれど、一応自分でできるようにならないと、というガンコな人なので。(…

コピー三昧

京城帝国大学の英文学教師だった佐藤清の著作をせっせとコピーしています。特段アヤシイ「序文」だの「解説」だのがあるわけではないけれど、とにかく自由主義が好きな人らしい。アイルランドのことを嬉々として書いたりして検閲を喰らったりしているようで…

Lovin' Youを聴きながら*

ミニ・リパートンと平井堅のLovin' Youを聴いています。授業のネタなのですが、Lovin' you is easy 'cause you're so beautiful ...と平井堅が歌うと何かせつないですねえ。easyではなかったんじゃないのですか、と思ってしまうのです。