拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

「京城帝大文科伝統と学風」、『英語青年』1959年

京城帝大には、きわめて厳しく選ばれた少数の入学者で成立した予科があり、従って文学部へ来る学生は少数であっても英文科へ集まる学生は一番多い方で、秀才も少なくはなかった。殊に、朝鮮人学生の優秀なものが集まったのは、帝大の名にあこがれたというよりも、外国文学への彼らの渇をいやしてくれるものが帝大の中にあったからで、二十年も朝鮮学生と親しく交わっている間に、いかに彼らが民族の解放と自由とを外国文学の研究に見出さんとしていたかを知って撃たれざるをえなかったのである。(全集三巻、二五九頁)