拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

2002-01-01から1年間の記事一覧

加藤壽々子のコンラッド翻訳

コンラッド『オルメイヤーの阿呆宮』(1895年)の翻訳、加藤壽々子訳『南海の望楼』(1943年)が届いた(←をクリックすると画像がでます)。1940年に出版された大澤衛訳とちがって、露骨に時局的な解説はつけられていないが、出版社の名前がすごい――「三亜書…

疲労

例年この時期は忙しいのだが、今年は本当は体の心まで疲れた。論文執筆も同時にやっていたからだろう。それなりに努力したおかげでどうやら中島&RLS論にもメドがついたと思っていたら、そうもいかなくなってきたようだ。私の論文の議論の一歩手前まで来…

阿部知二とスティーブンソン

河上徹太郎他、竹内好『近代の超克』(冨山房〔冨山房百科文庫〕、1999年)。論文で『文学界』ネタを間接的にしろ扱うので読んだ。「近代の超克?何をたわけたことを言っているんだ」とごく真っ当なことを言っている中村光夫は悪くないと思ったので、『中村…

『英語青年』を読む

バーバと中島に疲れたのでちょっと休憩。 『英語青年』2月号、"Eigo Club"の神尾美津雄「ロマン主義へのレイト・カマーによる『アルパイン・フラヌール』の擁護」の最終段落に賛同し、自己反省し、そして一抹の不満を覚えた。「わたくしのおもうところは、文…

バーバ、難しいよバーバ

今日からHomi Bhabha, The Location of Culture (1995)に収録されている'Of Mimicry and Man: The ambivalence of colonial discourse'を精読する。The Location of Culture (Routledge Classics)作者: Homi K. Bhabha出版社/メーカー: Routledge発売日: 200…

『ナショナリティの脱構築』

酒井直樹、ブレット・ド・バリー、伊豫谷登士翁編『ナショナリティの脱構築』(柏書房、1996年)から、酒井による「序論」の抜粋。 「われわれ日本人」という強烈な思い込みを持つ人々がしばしば、「外人」恐怖症に悩む外国経験のある人々であるのはここから…

『〈ゆらぎ〉の日本文学』

小森陽一『〈ゆらぎ〉の日本文学』(NHKブックス、1998年)の第八章「自己と他者の〈ゆらぎ〉――中島敦の植民地体験」は一応読んでおかなければならないと思って、この本を購入しておいた。「ゆらぎ」の日本文学 (NHKブックス)作者: 小森陽一出版社/メーカー:…

論文の推敲に行き詰まる。うすうす気づいていたのに抑圧していた事実、要するに資料の読み込みが足りなかったという事実が重くのしかかる。はやく論文の形にしたいと焦るあまり、ひたすら弥縫策に走っていた。こういういいかげんなことではダメだ。木村一信…

Dreams of Difference

もう二月。はやいね。と思う反面、とっとと二月なんぞ過ぎ去ってくれという気持ちもある。今日、帯広の中心部ではマイナス18℃。私の官舎附近ではまずマイナス25℃近かっただろう。勘弁してくれよ。/中島&スティーブンスン論の推敲というか書き直し(いつも…

ラーメンライスと岡倉由三郎

先ほど、ラーメンと小ライスを食べながら、岡倉由三郎のことを考えた。 岡倉という人は意外なくらい〈周辺〉〈混成〉〈差異〉という事態に出会っている人だが、同時にそれらと対照的な〈中央〉〈純粋〉〈同一性〉を立ち上げた人だった。私は拙論でこのプロセ…

レヴィジオン

東京から帰ってきてから、なぜか首の淋巴腺が腫れ気味で、咳が出る。風邪か?とにかく体重増えすぎ、不摂生しまくり、さすがにヤバイな。 昨晩は栗原幸夫編『レヴィジオン〔再審〕第2輯 超克と抵抗』(社会評論社、1999年)をざっと読む。(じっくりねちね…

まとめられない・・・

名古屋大学の院生、広瀬正浩の論文、「ネイティヴ・スピーカーのいない英会話――戦時・戦後の連続と「アメリカン・スクール」」、『名古屋大学国語国文学』、88、2001年を読み始めている。というか、今日は会議がどかどか入っているのと、恥ずかしながら小島…

『日本文学盛衰史』 

新年おめでとうございます。 今日は本当は札幌にいるはずだったが、大雪&寒波で四〇年もののヴィンテージ官舎が破壊されていないかと心配、昨晩帰省した。官舎は無事だったので、明日は予定通り東京・筑波での「研修」に出発する。 今年の「正月の本」は高…

『文学部をめぐる病』評

昨日、しばらくぶりに『噂の真相』(2001年11月号)に連載中の井家上隆幸「ジャーナル読書日記」を読んでいたら、高田里惠子『文学部をめぐる病――教養主義・ナチス・旧制高校』(2001年)についてこう書いてあった。 戦前ドイツ語教師たちのドイツ文学受容の…