拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

シェリー・ワイア『サイードと歴史の記述』永井大輔訳、岩波書店、2004年

内容的に特記すべきことはないけれど、富山氏の「解説 渦をつくる、そして中心に」を読むと、この訳書が英文学者ではなく若手のアイルランド史研究者の手になる物であることへの富山氏の期待のありようを考えてしまう。

中根隆行『〈朝鮮〉表象の文化誌−−近代日本と他者をめぐる地の植民化』新曜社、2004年

筑波出身の同世代の仕事。これから読みます。

Edward. W. Said, _Humanism and Democratic Criticism_, New York: Columbia UP, 2004

タイトル通りの本でして、渡辺一夫の現代版という気もします。歴史と主体の関係(前者の後者に対する圧倒的な力と後者の無力)はヴィーコに寄りながらクリアして、その実践としてアウエルバッハ的文献学を賞揚するという、サイード読者ならおなじみの議論が…

ハルオ・シラネ&鈴木登美『想像された古典−−カノン形成・国民国家・日本文学』新曜社、1999年

さらさらと読んでいる。自分でもこういう博論を書いてしまったので、強い既視感があって、をっ!とひっかかるところがあまりない。あえて言うと鈴木登美論文で、マシュー・アーノルド流の文学(文化)理論が坪内逍遥『小説神髄』(1885年)のバックにあ…

池澤夏樹『風がページを・・・』(文藝春秋、2003年)

「週刊文春」の連載書評をまとめたもの。札幌から帯広へ向かうスーパーおおぞらに乗りながら読んだ。をを!という本の書評が無かった。残念。 池澤さんが「オリエンタリズム」と批判されるのを覚悟でバリ島なんかを書くのはわかっていたが、小説を書くのには…