拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

池澤夏樹『風がページを・・・』(文藝春秋、2003年)

週刊文春」の連載書評をまとめたもの。札幌から帯広へ向かうスーパーおおぞらに乗りながら読んだ。をを!という本の書評が無かった。残念。
池澤さんが「オリエンタリズム」と批判されるのを覚悟でバリ島なんかを書くのはわかっていたが、小説を書くのにはある程度仕方ないんだといういい方をどこかでしていて、それが丁寧な作業をふまえての、あるいは十分な理解が得られる文脈での発言なのか、ちょっとよくわからないところがある。この書評集では、アップダイクの確信犯的オリエンタリズムを割と評価していて、まあそんなもんかとも思うと同時に、かなり気にしてはいるのだなとも思う。
黄金週間中は講談社版『日本の歴史』1,2巻や網野さんの本をずっと読んでいた。しばらくは英文学関係の本は読みたくない感じ。ただ、ハーディ『日陰者ジュード』は久しぶりに再読したい気持ち。