拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

アーニャ・ルーンバ著、吉原ゆかり訳『ポストコロニアル理論入門』(松柏社、2001年)

実に久しぶりの読書。入門としては少し高度か。結論は次のようなもの。

イードの『オリエンタリズム』も、フーコーデリダの方法論と、グラムシの社会改革への意志とを無理に組み合わせようとするものだとして、似たような批判にさらされてきた。批評家のなかには、マルクス主義ポスト構造主義の洞察を組み合わせることを、二匹の馬に同時に乗ろうとすることに好んで喩える者がある。それに対して、方法論的な純粋さを保つために、周辺化された物語とパースペクティブを、ふたたび階級と資本主義の下に隠してしまってそれでいいのかと答える批評家もいる。そうするくらいなら、プラカシュが言うように、「不実にも、二匹の馬にしがみついていようではないか。」(302頁)