拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

鵜飼哲『応答する力−−来るべき言葉たちへ』青土社、2003年

前著の『抵抗への招待』(みすず書房)も熟読させていただいたので、この本も楽しみです。というか、気合いをいれて、刺激を受け、activeにならなければならぬ。これは校費購入。
ほぼ読了。基本的な姿勢は以下の引用文に尽きると思う。ブッシュ流の無茶苦茶な先制攻撃論と、旧来の反戦運動等々を念頭に置きながら、鵜飼さんは次のように書いている。

反射し合う「馬鹿」に挟撃されて身動きが取れないとき、誰もが「最悪の文学」の誘惑にさらされる。このとき、「最良の文学」は何をもたらすことができるのか。愚かさを哲学的に記述することと同様、この問いに簡潔に答えることはむつかしい。あえて言えば、愚かさの魅惑のただなかで呼吸し、そこから空前の、「テロリズム」と呼ぶことさえ不可能な表現をもぎ取ることだろうか。(10頁)

岡真理さんが9/11をふまえて「まずは文学の無力を噛みしめたい、沈黙したい」という主旨の文章をどこかで書いていたが、岡さんならこの鵜飼さんの言葉にどう反応するだろうか。