拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

大杉重男『アンチ漱石−−固有名批判』講談社、2004年

なんというか、漱石を論じることがある種の「罠」にはまることだ、という感覚は私も共有しているので、買ってみた。私の関心からすると、漱石は英文学→小説家であり、柄谷も英文学→批評家というわけで、漱石万歳、柄谷OKと言ってしまうと、なんというか、英文学そのものをきちんと問題にしないで済ませてしまう(大杉は「不良債権」という言葉を使っているが)と思うので、漱石は論じたくないというわけだ。大杉さんの場合、私がこだわっている英文学のところに批評なり柄谷なりNAMが入るのかもしれないが。ともあれ、「積ん読」の一つにしておきたい。