なんというか、漱石を論じることがある種の「罠」にはまることだ、という感覚は私も共有しているので、買ってみた。私の関心からすると、漱石は英文学→小説家であり、柄谷も英文学→批評家というわけで、漱石万歳、柄谷OKと言ってしまうと、なんというか、英文学そのものをきちんと問題にしないで済ませてしまう(大杉は「不良債権」という言葉を使っているが)と思うので、漱石は論じたくないというわけだ。大杉さんの場合、私がこだわっている英文学のところに批評なり柄谷なりNAMが入るのかもしれないが。ともあれ、「積ん読」の一つにしておきたい。