拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

池澤夏樹『静かな大地』、親鸞賞受賞

 「作家になった以上、いつかは書かなければいけなかった。祖先の遺産であり、家宝でもある」。第3回親鸞賞(本願寺維持財団主催)の授賞式が18日、京都市の東山浄苑であり、作家の池澤夏樹さんが受賞作『静かな大地』(朝日新聞社刊)についてこう語った。

 『静かな大地』は、明治初期に北海道に入植した和人の兄弟とアイヌの人々との繁栄と没落を描く。作中の語り手となる女性は、池澤さんの母方の祖母にあたる。「小さい頃、母から聞かされてきた一族の話が土台。歴史は、親から子へと語り継がれるものでは」と池澤さん。

 この日は池澤さんと加賀乙彦黒井千次瀬戸内寂聴中西進の4選考委員を交えたシンポジウムもあった。加賀さんは「日本人に対する鋭い批評小説」、中西さんは「北海道という大地の自叙伝だ」とたたえた。黒井さんは「父がその兄について娘に語るという伝聞の聞き書きが生々しく迫る」と評価した。

 選考委員の話を受け、池澤さんは「小説は1人で書く。読む方も1人。しかし、読者の考えを喚起しているとしたら、(作家は)孤独ではないと感じた」と締めくくった。

 イラク戦争反対など、常に少数者の側にたつ発言を続ける池澤さん。「医者でいうなら『セカンドオピニオンの係』」と話す。口承伝承を駆使した『静かな大地』には、正史とは別の形で歴史の神髄がつまっている。 (2004/12/22)

http://www.asahi.com/offtime/person/TKY200412220249.htmlより引用。

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