拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

グロテスクな教養、宮田版『フィネガンズ・ウェイク』

グロテスクな教養 (ちくま新書(539))

グロテスクな教養 (ちくま新書(539))

高田さんの前著には図星をつかれたような気がしてずいぶん取り乱したと同時に、これはこの人の論文を読まねばと紀要論文を読み、独文のオッサン(たち)にこのゴミ最低野郎死ね(とは書いていないが、そういう勢いで)と啖呵を切っているのを知って、妙に感動したのを覚えている。
高田さんにもしお会いしてお話する機会があったとしたら、どうしてあの桃山の紀要論文を出版しないのですかとお聞きしたい・・・とも思わないな、もうおなかいっぱいというか。
なんというか、反論ができないような正論をぶっ続け読まされていて気が滅入ってくるのだが、しかしおそらくご本人も過剰さを抱えていて、その過剰さに、あまり景気はよくないが何か肯定的なものをつかみ取れるような気がしないでもない。
しかしである。私のような読者に中野孝次の存在を思い出させるところなど非道ですらあることははっきりと書いておきたい。正直、むかつくぜ。
バスの待ち時間があったので再読したのだが、この本って売れるんだろうか?という素朴な疑問がわいた。
抄訳 フィネガンズ・ウェイク

抄訳 フィネガンズ・ウェイク

ジョイス学者ではないド素人FWファンにとって、主たる注釈書から引用しているこの抄訳は本当に助かる。