拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

イスタンブールの英文学の先生たちから「パムク×」

という批判をかなり聞いてきました。
"Snow"という小説、1980年代?とおぼしき時期のトルコの政治的動乱を背景に、フランクフルトに20年暮らしていた詩人が出身地のカルスというアナトリアの田舎町(といっても11万人くらいいるようだが)に帰ってきて、スカーフをかぶるかぶらないで自殺する若い娘のルポを書こうう・・・というのは言い訳で、かつて大学時代に惚れていたイペク(絹という意味)が離婚したというので会いにやってきた云々という話で、むろんすんなりうまくいくはずもなく、特にフランクフルトに帰ってからの主人公Kaの「毒男」ぶりには泣ける話なのだ。
で、私がイスタンブールで聞いた批判で一番多かったのは、「パムクの"Snow"、カルスにおけるムスリムと政府との対立、陰謀、革命騒ぎ等々、あまりに誇張が多い。カルスの住民はこの小説が出てからマジで猛烈に怒っている」というもの。言外に、パムクは西欧諸国のトルコ国内の人権問題に対するバッシングに便乗している、ということを言いたかったみたい。
読むならヤシル・ケマルを読め、とも言われた。で、カイザル・ブックで買ってきた。しかし、まだ開いていない。

そうそう、トルコ人で英語で創作している作家のネタも仕入れてきた。これはそのうち作品を買っておかないと。ちなみに、みな女性でした。