『ディクテ』を読み続ける
池内さんの翻訳と酒井さんの論文を傍らに、ペーパーバックを読み続ける(3回目?)。新田啓子さんの論文はちょっと後回し。
酒井さんによって、すでに15年近くまえに、このテクストがinter-nationalな対−形象化に収まらない何者かであると同時に、日本の朝鮮半島植民地化に抵抗するためのnationの要請でもあるのであって、このambivalenceは解消しがたいのである等々と指摘されているのであって、その酒井論が岩波の本に出ていたのを読んだ当時(1996年)、私もホミ・バーバ経由でambivalenceの議論にどっぷり嵌っていたからこそ、あわてて『ディクテ』を読み始めたのだが・・・。
今、読み返しても、十分に読み応えがあるテクストだと思うのだが、ちょっと『ディクテ』万歳状態になっている自分に少し嫌気がさす。
なんだろうな、チャという人が若いときから非常に優秀な人であり、何より『ディクテ』の(ひとまず)著者であり・・・ああ、要するにこの人の才能が妬ましいのだ。
つまりですよ、こんなテクストが存在していたら、私なんぞが何を書けるっちゅうんだということですよ。
そりゃ〈北海道〉と〈英文学〉について、しつこくしつこく書き続けるけどさ、でもなあ・・・。
- 作者: Theresa Hak Kyung Cha
- 出版社/メーカー: Univ of California Pr
- 発売日: 2001/10/01
- メディア: ペーパーバック
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