拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

読んでもワカラン

On Late Style: Music and Literature Against the Grain

On Late Style: Music and Literature Against the Grain

結構前に買った本なのだが、読みかけてはやめ読みかけてはやめ、ようやくこの週末に最後までたどり着いた。のだけれど、正直よくわからない。
「後期」が予定調和的なendではかならずしもないということを言いたいのだろうということはわかる。しかし、例えばアドルノ『ミニマ・モラリア』とか、シュトラウスの1940年代のオペラ(と、例えばウィーン派のヒンデミットとの違い)とかを論じられても、私には腹の底から分かった!という気には到底なれなかった。自分なりに格闘した素材ではないからである。
ジュネ論は、サイードが論じるジュネの文体の美しさとジュネの生き方のラディカルさの生産的な齟齬といべきものとか(とはいえ私は鵜飼訳の日本語でしか知らないわけだが)、70年代から80年代にかけてパレスチナテロリズムという等式が無茶苦茶に強かった時代にパレスチナ人を愛する、それを公言することのすごさとか、そんな彼と対照的にパレスチナのこをと全く言わなかったちょっとヘタレなサルトルのこととかが書いてあって、興味深く読んだ。