拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

根室の事件

去年、『フィネガンズ・ウェイク』について書くために(Finnegans Wakeについて、ではない)根室市をずいぶん歩き回った。もちろん根室港も歩いたし、納沙布岬にも行った。
今回銃撃されて拿捕された舟は貝殻島を越えて領海侵犯、さらに密漁の疑惑もあるわけなのだが、あれ、岬から貝殻島をみると、ホントすぐ近くで、あそこには灯台があるのだが、その周りをロシアの沿岸警備艇がうろうろしている。根室の漁民にしてみれば、異様に狭い漁区で漁業をしているがために苦しい生活を余儀なくされている、だからこそ北方領土返還の願いは真摯なのだとも思う。つい最近、根室市長が二島返還も考慮すべきだと発言して叩かれたが、*1漁民の立場を考えれば、二島返還でも相当漁区は広がるわけで、今よりはるかにマシになるだろうとは思う。
この事件が起きた直後のNHKのニュースで、根室の漁師のオジサンが「いやー、これムズカシイ問題だからね、でも銃撃はやり過ぎだわ」と言っていた。この発言を聞いて、「ムズカシイ問題だからね」というところに今回の問題の肝があるんだろうなと、漠然と思っている。誰だって好きで領海侵犯しないわけで。

*1:これとかすごいなhttp://www.gfj.jp/jpn/column/060801-1.html。地方の利益<<国益と、国後択捉におけるロシアの既得権を認めてはならないというのはまあ「正論」だろうが、こうまで露骨に書くかねえ。本気で地方はどうでもいいと思っているのかもしれん。これじゃワルでも宗男さんの人気が衰えないのも当然かも。