拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

ダンテ!

1月25日。木曜日。
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)』の第八章、ダンテさんの『神聖喜劇』における"figural thinking"とその逆転──地上的な事象が天上的なものの預型であるという基本型が、ダンテさんの空前絶後とでもいうべき創意工夫によって、天上的なものこそが地上的なもののリアルさを担保するかのようになっている──あたりは、発表者である院生Kさん解説によって、相当わかりやすく説明されたおかげで、私自身も頭の中がスッキリした気もする。ともあれ素晴らしい。
このあと大熊先生のお通夜に向かった。O先生や院生と呑んだあと、新宿のホテルで第9章、ボッカチオさんの『デカメロン』の分析を読む。私はアフォ&エロネタ満載の『デカメロン』は大好きで、この9章「修道士アルベルト」も(アウエルバッハが強調する)アイロニーにいつも笑ってしまうのだが──アウエルバッハ一押しの、天使に化けて間男するアルベルトさんが「その羽根を脱ぎ捨てて出て行った」云々という所とか──、第8章で盛り上がったアウエルバッハさんにとって、ボッカチオさん<ダンテさんということになるのだった。
ま、こんな単純な不等号図式でぶった切った、というわけでもなく、アウエルバッハさん自身が分析対象のテキストのレトリックを反復するかのように、盛り上がり過ぎた8章からクールダウンしたのが第9章なんだ、と読むべきなのかもしれないが。
1月26日。金曜日。
告別式。
帰りはブリジストン美術館の無料チケットがあったので、見ていこうかと東京駅まで行ったのだが、深い疲れを感じてとっとと帰宅(有給とったのです、さぼってないよー)。