拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

くそったれな話

6月14日。
いよいよ今日から『ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫)』下巻。冒頭を飾るのは、文学読みで嫌いな人はあまりいないんじゃないかと思いますが、

画像がでないのはケシカランですな。
あとこちらも。
ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

本日は院生諸氏とまずは1:13のくそったれ話を読む。というわけで二つの翻訳を比べていると、便利さは圧倒的に宮下さん訳なのだが、特に糞話になると渡辺さん訳でないと読むのがつらい。

若きガルガンチュアの「短詞」。

渡辺さん

先日脱糞痛感
未払臀部借財
同香而非同香
濛気芬々充満
何人許諾欣然
希携行我佳人
善哉善哉

宮下さん

先日、われ脱糞しつつ
わが尻に残りし借財を感ず
その香り、わが思いしものにあらずして
われ、その臭さに撃沈さる

嗚呼、だれか、
われが脱糞しつつ、待つ貴女を、
連れてきてくれるものか。

尾籠な糞話(&ラブレーさんが大好きな「直腸」ネタ)を明快で分かりやすい日本語で読むのはつらい私。小説研究者としては失格だなあ。
ところでこの1:13をわざわざ読者に読むように指示しているのはアウエルバッハさんその人なのだった。好きなのかな、この糞話。