拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

安田敏朗『帝国日本の言語編制』

安田敏朗『帝国日本の言語編制』(世織書房)。
某研究会で安田敏明『帝国日本の言語編制』を取り上げるため、昨日読んだのですが、正直なところ、イ・ヨンスク『「国語」という思想』を読んだあとだけに、新味がない。新味がなくてもいいんですが、イさんの議論とだぶってしまう。

「国語」という思想―近代日本の言語認識

「国語」という思想―近代日本の言語認識

興味深かったのは、比較言語学を学んで、日本語・朝鮮語同系論を唱えた金沢庄三郎について、比較的多くのページをさいていたことくらいでしょうか。
それにしても、例えば金沢が「西欧中心」の比較言語学を日本において受容、受容というか再生産した、そのプロセスの分析がない。申し訳ないけど、物足りないです。ないものねだりだとは思いますが。
どうでもいいことかもしれないですが、この安田さん、僕と全く同じ1968年生まれなんです。なのにもう著書が2冊もある。僕も猛烈に奮起しなければ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
注記(2006年3月12日)
「猛烈に奮起」してから7年たつが、私はようやく一冊目が出る。安田さんは、この本が絶版になっていることが気にならないくらい質量ともに圧倒的な仕事をしているのは周知の通り。共著も含めて11冊。
もちろんすべての本を持っていますが何か。
脱「日本語」への視座  近代日本言語史再考 (2)

脱「日本語」への視座 近代日本言語史再考 (2)

国文学の時空―久松潜一と日本文化論

国文学の時空―久松潜一と日本文化論

植民地のなかの「国語学」―時枝誠記と京城帝国大学をめぐって

植民地のなかの「国語学」―時枝誠記と京城帝国大学をめぐって

「言語」の構築―小倉進平と植民地朝鮮

「言語」の構築―小倉進平と植民地朝鮮

国語国字問題の歴史

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「国語」と「方言」のあいだ―言語構築の政治学

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日本語学は科学か―佐久間鼎とその時代

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戦時中の話しことば

戦時中の話しことば

『帝国日本の英文学』というタイトルといい、出版社といい、私は「安田チルドレン」である。