拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

『驚異と占有』

先週、恥ずかしながら、初めてグリーンブラット『驚異と占有』を荒木訳で読んだのですが、やはりインスパイアされます。

驚異と占有―新世界の驚き

驚異と占有―新世界の驚き

今の僕の作業は、英文学テクストを読み、そのポリティックスを語る論者が、自分のポジションのポリティックスをネグってしまう ことを分析することなのですが、グリーンブラットが語る「驚異」と「占有」の関係、またこの包摂図式に捕らわれない「驚異」の可能性についての議論、というより語りは、 ちょっと抵抗出来ないくらい魅力的ですね。シェイクスピア研究者が熱狂したのも分かりますが、同様に熱狂してもいいはずの比較文化研究者や ポストコロニアル研究者が、グリーンブラットを正面から取り上げないのはなぜだろう。そういえば、イングランドでも、サイードについては 括弧付きで語る人がいたが、だれもグリーンブラットについては語らなかったですね。これも面白い現象です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
注記(2006年3月12日)
7年後、△のような翻訳をこなしながら、▽のような化け物本を書くこの人の「同僚」になるとは。凹みますよ。
ホモ・テキステュアリス―二十世紀欧米文学批評理論の系譜

ホモ・テキステュアリス―二十世紀欧米文学批評理論の系譜