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松浦寛『ユダヤ陰謀説の正体』(ちくま新書、1999年)。反ユダヤ主義がなぜおこるのかについての説明は、なぜか一度も言及がないサルトル『ユダヤ人』(岩波新書)以上のものではない――共同体意識を強化するために、〈ユダヤ人〉であるところの存在をでっち上げ排除するということ。戦前の日ユ同祖論者の文章など、なかなか読まない文章が引用されているのは資料的価値があるかもしれない。また、巻末の解説付き文献目録は悪くない。この人はフランスのファシズムの研究者で、『ドレフュス事件辞典』を共訳で藤原書店から出すということだから、まっとうな仕事をしている人だろうが、それにしてもこの新書、こういっては失礼だけれど、いかにも余技という気がするなあ。*1
- 作者: 松浦寛
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/11
- メディア: 新書
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07/03/2000
遺伝子で差別してはいけないという基本原則がようやく形になりそうである。当たり前である。
*1:このカキコのあと、ご本人からメールを頂いて冷や汗をかいた記憶がある・・・穴があったら入りたかった・・・orz [2006/07/12]