ブラス!
授業で使えないかというスケベ根性丸出しで、このところヴィデオをかなりみている。これはみた人も結構いるだろうBrassed Off!(邦題)『ブラス!』。
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もう一点。この映画ではイングランドの炭坑町が出てくるわけだが、僕はほとんど廃墟となったわが出身地夕張市の実に惨めな「炭住」を知っているので、制作者が力を込めて伝えているのであろう「どうだ、うらぶれた町だろう」というメッセージを素直に受け取れない。いや、十分立派ですよ、イングランドの「炭住」は!日本の「炭住」って、真冬にはストーブをたきっぱなしにしないと寝ていても顔が凍るような、それはそれは惨めな木製バラックだったのだ。イングランドの炭坑夫ってかわいそう、なんて思ってもらっては困る。日本の炭坑夫(婦)も悲惨な生活を送っていたのである。札幌に出れば「炭坑出身」ということで馬鹿にされたんだしね、僕は絶対にこういうことを忘れないし、自己紹介するたびに必ず「夕張出身」と言い続けている。
『幸せの黄色いハンカチ』という、高倉健主演のひどい映画があったけど、――考えてみると『鉄道員』も似たようなもんだ――あれよりは『ブラス!』の方がいいのは確か。負けるのが分かっていて、でも何かをやろうとしている――陳腐なんだけど、でも何にもしない高倉健(扮する主人公たち)よりは百倍ましだ。
追記 26/05/2000
昨日HTB(だと思う)の夕方のニュースの中で、男性キャスターが旧真谷地炭坑跡を訪れ、そこで「炭坑遺跡」を撮影している写真家を取材するという特集があった。ちょっとタイミングよすぎ。で、その特集によれば「社光」という地域の炭住がもうすぐ壊されるとのことだったが、画面に映った「炭住」はやっぱり悲惨なバラックであった。僕もふくめて、「家はボロだが人情味があった」とかなんとか言ってごまかしがちなのだが、これではいけない。悲惨なものは悲惨なのだ。そこに「文学」を持ち込んではいかん。