拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

宮田恭子編訳『フィネガンズ・ウェイク』

柳瀬訳が偉業であるのは認めつつ、難解だと敬遠されがちなこの作品を「いかに分かりやすい日本語に訳すかに意を用いようと考えた」(673頁)とのことだが、そもそもこの作品を難解だと敬遠する人は、この作品とずっと無縁でいいんじゃないか、とちょっとだけ感じてしまったりする。
宮田さんが集英社から抄訳を出す意図は、まあ私なりに分かるんですがね。

柳瀬猫訳「羅臼」は宮田編訳では「ラウス州」。「斜里」は「サイドル村」。後者の方が英文学的には正しい。が、私はシャモなので、前者に粘着する。

筑波大の図書館には大沢他訳、柳瀬他訳、柳瀬猫訳、宮田編訳が参照しているFW関係の参考書が少ない。ファクシミリ版ノートはある。しかし、『ユリシーズ』におけるギフォード本の類の本が少ない。これには驚き、かつある意味納得した。
これから私がせっせと図書館に本を入れるか。

・・・とか何とかだらだら書いているうちに、どうやら8月26日にこのネタでしゃべることになりそうだ。野良英文学者ではあるが、●万円くらいはかけてどかっと参考書を注文したので(図書館ルートだと時間がかかりすぎて間に合わない)、野良としての誠実さはある発表をするべく、準備をしたい。
というわけで、ネタばれブログカキコもいいかげんにしておくか。いや、このネタをバラしても誰がかっぱらうというわけでもないのだが。