拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

修道士アルベルトさんはintendimento

2月1日。木曜日。
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)』第9章、ボッカチオさんの『デカメロン』から「修道士アルベルト」のアフォアフォ間男話の分析、第一回目。なんといってもアフォな修道士に「南瓜頭に塩が足りない」人妻の不倫(という言葉が重く感じられすぎるアホっぷり)ネタを「充実した完文」──例えば..., essendo madonna Lisetta con una sua comare, et insieme di bellezze quistionando, ...におけるessendoとquistionandoの韻文的な響きとか──で格調高く表現するボッカチオのアイロニーを、みんなで笑いながら読んだ今日の授業でした。
あと、「情人」と訳されているintendimento (mio)──英語のintendで、誰が誰をどのようにintendしたのかを想起させる「社会性」のある言葉だ、とはアウエルバッハさんの言であります──は、やっぱりコンラッドさんの『闇の奥』、クルツさんの婚約者、名無しの"My Intended"という言葉を想起したり。