拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

グラスさん=釣り師

スピヴァクさん@沖縄の件について凹みつつも、職場のA先生の博論原稿を読了。
アウシュビッツによって打ちのめされた経験を語るという困難さを巡る、戦後ドイツ作家たちの語りの戦略についての分析なのだが、勉強になった。例えば、これは私もこのブログで驚いたことを書いた記憶があるが、かつてSSだったことを「告白」したギュンター・グラスさんは、いわば自分の過去をえさにつかって釣りをしたのだ、つまり釣られた連中を『Peeling the Onion』(これは英訳だが)ドイツの過去という「玉ねぎの皮をむく」作業に赴かせようとしたのだ、という指摘は興味深かった。
などと考えつつ、今朝の7時30分に原稿を読み終わったらドリス・レッシングさんが今年のノーベル文学賞を受賞したというニュースを知った。