拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

デリダがこんなにわかっていいのです

6月2日。
2コマ。
1コマ目、コンラッドさん論は、定番の以下の2冊を紹介。

コンラッド 人と文学 (世界の作家)

コンラッド 人と文学 (世界の作家)

『闇の奥』の奥―コンラッド/植民地主義/アフリカの重荷

『闇の奥』の奥―コンラッド/植民地主義/アフリカの重荷

2コマ目、『フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)』はあいかわらずコツコツと。"shebby choruysh of unkalified muzzlenimiissilehims" [4:16]は、「かいきょうどものもつれへむへのめっためっかな雑唱」ということで、muzzlenimiissilehimsという言葉のめろめろ感をひらかなの連続で音の響きまでも翻訳していると同時に、「回教」「ベツレヘム」というアブラハムの宗教(キリスト教ユダヤ教イスラム教)をぶち込んでいるという、例によって凝縮された箇所なのだが、さて「メッカ」(マッカ)はどこよ?と見ていると、choruyshとunkalifiedのkaの音に連続するmの音をミックスして「メッカ」なんだ、と。このあたりがtrans-creationだろこれと言われてしまう由縁か。
××の作業を進める。
6月3日。
1コマ。会議。××業務。来週末の準備。また床に毛布をひいて寝てしまった。
6月4日。
2コマ、1コマ院合同ゼミ。
2コマはまたロック映画で英語授業なのだが、前回にもまして、学生の反応が鈍い。これは、かつてアンソニー・バージェスさんが書いた逆英文学史、つまり現時点から過去にさかのぼるという、日本の訳書しかない奴があったのだが、あれのロック+英語教育本でも作らないとダメってことか。

この2週ほど、授業準備やら書類書きやらほにゃららのため朝7時前に職場に逝っているが、さすがにエネルギー枯渇の今日この頃でございます。しかし、ついに待望の大著が出版されたわけでして、ヘタレ研究者の私も多いに刺激を受けております。

デリダで読む『千夜一夜』―文学と範例性

デリダで読む『千夜一夜』―文学と範例性

この本の元になった博論に関わった人間なので宣伝部隊乙!ということになるのでもあるが、しかしこれマジで帯の惹句は(特に第1部については)嘘じゃないです:<>で「でデリダがこんなにわかっていいのかしら?」はい。圧倒的に明晰かつ明快です。
ところでこの惹句、どうも某A御大が口走ったのを、私がこのブログにディストーションとフランジャーをかけて書いて、それをS社の編集さんが見て、これでいきましょう!ということらしい。らしい、というわけでoriginはなくbeginningsがあるのみである。素晴らしい。