拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

大貫さんの博論構想発表を聞きました

某所よりアップ。
国立にて大貫隆史さんの博論構想発表を拝聴いたしました。ダブル・アイとコンプレックス・シーイングの違いも一例だと思うのですが、いわゆる「専門用語」を使わないで、「普通の」言葉をいわばギリギリとしばきあげ、それを読者にも共有してもらうというのは、これは書き手にとっても至難の業、読み手にとってもハードルが相当高いと思いました。これはいろんな意味ですごい。
目指すところは非常に野心的で、この論文が引き受けたものの性質から考えて、当然論争がおきると思います。生産的な論争になることを願っていますし、そうなることでしょう。
お話しを聞きながら、個人的には、特に「ガリレオの引きこもり問題」(資本やら戦争やらに荷担してしまうから「引きこもってしまえ」をどう考えるか)については(ウィリアムズ(1921〜1988)より18歳年上なのですが*1中野好夫(1903〜1985)のことを考えていました。偽善者を自称し礼賛していた中野も、戦争中も戦後もいろいろなことをわかって受け入れていたと思います。
というわけで、あらためて以下の本を紹介。

太平洋戦争と英文学者

太平洋戦争と英文学者

著者は1925年生まれ。

*1:ウィリアムズと同世代というと外山滋比古(1923〜)がいますね。