私たちの生きている時代
- 作者: 辺見庸,高橋哲哉
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/02/04
- メディア: 単行本
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高橋:シモーヌ・ヴェイユは――彼女は工場労働やスペイン市民戦争など、現場に体ごと入っていって、そこでものを考えられるかどうか試みた哲学者ですが、完全に疲労困憊して何一つ自分の思うままにならない状況では、人間は思考できないと言うんですね。逆に、すべてが思い通りになる状況でもじつは人間は思考できない。つまり他者との間のザラザラした摩擦感あるつき合いっていうか、関係のないところでは、思考そのものができないんだと。いまの日本社会では、何でも手に入るという幻想と、情報過剰による疲労困憊との両極端で、ものが考えられなくなっているんじゃないでしょうか。
「情報過剰による疲労困憊」の特効薬。テレビの電源を抜く。ためしに一週間テレビを押入れにしまうか、コンセントをテーピングしてみるべし。もうひまでひまでどうしようもなくなって、本を読み勉強するのが楽しくてしょうがなくなること間違いなし。*1
*1:この本の続編が出ている。新私たちはどのような時代に生きているのか―1999から2003へ [2006/07/14]