拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

康夫ちゃん出馬(2)

ちょっと古いが、いま手元に9月11日付けの『日刊スポーツ』がある。全国初の「独身知事」を目指す田中康夫さんはこんなことをおっしゃっている。

――同じ作家で一橋大の先輩の石原慎太郎知事が「勝つと思う」をエールを送っている。
田中氏: 大変ありがたく、うれしい応援団だ。出馬しようかどうか(ジャーナリストの)田原総一朗さんに相談した時、以前に『サンデープロジェクト』で東京都の外形標準課税を扱った時、大塚さんという都の主税局長が出演し目をランランと輝かせて新しい税制の理念を説いたという話をしてくれた。「私は、こんなに目を輝かせて語る官僚を見たことがない」と田原さんは言っていた。そういうのを引き出すことがリーダーだ。リーダーが1から10までアイデアを出して動かしたら、たとえどんな良いことをしていても、それは独裁だと思う。石原氏は大統領的な決断をしてくれる方だけれど、同時に今まで眠っていた都の職員の能力やアイデアを引き出した。「やってみなさい。責任は私が取るから」と言って、やらせた。その時に都民から大喝さいが出たら、主税局長も22歳で大学を出て「世の中を良くしたい」と思って都庁に入った時の、すがすがしさに戻れたのではないか。僕もそれを長野県の人々に与えたい。

今まで浅田彰さんとの対談や「東京PG日記」で石原さんのことをボコボコに言っていたのはどうでもいいわけ?いや、選挙にでるんだから、応援してくれる人間なら誰にでもリップサービスはするだろうさ。勝つためには二枚舌だって必要ですよ。だけど、活動家=作家としての彼は、こういう「二枚舌」を拒否するということによってのみ、存在価値があったのではないか。

「言いたい事を言うべき時に言い続け、行いたい事を行うべき時に行い続けてきたのが田中康夫。而して、それは在野で在ってこそ田中康夫。と申し上げる」(『噂の真相』10月号の「東京PG日記」、7月30日)

田原さんその他の人々の意見を聞いて田中さんは「変節」したのだろうが、せめて「いまどきまっとうな」変節ぶりを読ませていただきたいと、来月号が今から楽しみである。おそらく田中康夫一世一代の華麗にして計算され尽くしたレトリックが駆使されることだろう、こちらも気合を入れて読まねば。*1
閑話休題。焦った長野の反田中陣営が田中さんの「下半身スキャンダル」を探しているとのことだが、世の中にこれほど無意味なこともないなあ。

*1:これはフツウにペログリでした。『噂の真相』は休刊、康夫ちゃんは選挙に負け・・・。[2006/08/09]