拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

英文学東京若手の会

町内会の仕事が終わったあと、さすがに不義理を続けているのであわてて三田に行きました。ついたら教育シンポが終わる頃。結局「研究発表」(一本目)に参加しました。*1
田中裕介さん*2の「混成のイングランド――マシュー・アーノルドとジャマイカ事件」に冨山太佳夫さんがコメントというもので、なにせネタがアーノルド、しかも私自身昔コンラッド『チャンス』のdqs論文を書くときに勉強した『ケルト文学研究』がお題だとなれば、これは出ないわけにはいかない。
議論はかなり微妙かつ膨大なものなので要約は厳しいのだが、個人的には(3)「混血差別へのイロニー 『ケルト文学研究』とジャマイカ事件」と、それにまつわるコメンテーターとフロアの議論の盛り上がりにちょっと興奮しました。冨山さんも興奮気味だったようでした。『ケルト文学研究』はケルト的なものとアングロ=サクソン的なものの「融合」を語っているテクストなのだが、それが"the English empire"(Britishでない)という概念に練り上げられていくことのイロニーが非常に興味深いというわけ。
あと、言語学の問題とか。アーノルドのあとはマックス・ミュラーとかいるが(読んだなあ)、その前は研究が欠けている。「首の心配がない専任の人がやってください」と冨山御大のお言葉。私、ちょっと興味あるんだよなあ。
二本目のファウルズ論は途中で失礼しました。

*1:私が参加していないセッション等々の報告はhttp://d.hatena.ne.jp/toshim/20060422http://d.hatena.ne.jp/zappa/searchdiary?word=%2a%5bwork%5dをどうぞ。

*2:昨日まで田中さんのお名前を「祐介」と間違って表記していました。正しくは「裕介」です。田中さん、皆さん、申し訳ありませんでした。[2006/04/25]