拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

ポストコロニアル研究会@白百合女子大

ほぼ一年ぶりにこの研究会に参加しました。
NさんのBeyond Belief論は、ものすごくおおざっぱに言うと、この紀行文の「私」が、「私」の意図のもとにさまざまな物語を統御していて、実際それはかなり強力に統御しているのだが、それが破綻している部分はあるので(例:鼻をつぶされた女性の場面)、そこは議論する価値があるというもの。ナイポールを「研究」している人の話でした。
コメンテーターのUさんは、Nさんが「「私」の破綻」として議論した部分にしても、それが例えば鼻をつぶされた女性の場面にしても、Nさんが「サバルタンの哄笑?」と提示したようには読み込んでいけない、というもの。フロアからは「ナイポールは「フラット」なんだ」との声があったが、そういうことなのでしょう。
私のコメントは、Nさんの、オックスフォードに学ぶ非ヨーロッパ人として、読んでいて愉快ではないという趣旨の発言を受けて、ナイポールの「「新世界」には聖なるものがない」「だから旧世界に向かうのだ」という言葉は、外国文学研究者としてマジメに考えるべきだろうというもの。あと、サイード&イクバール・アフマドのナイポール批判(後者:「ナイポールはソーセージ売ってろ」)を英文以外の参加者の方のために紹介しました。
と、発表者&コメンテーターの発表&発言はこのようなものだったと記憶していますが、しかしなにせつっこみどころの多いナイポール、フロアからは「この人のイスラム理解はあんまりだ、文学どうのこうののレベルではない!」という強烈な発言(私も同意ですな)があり、ナイポール研究者の丁寧な解説もありと、なかなか盛り上がったのではありました。このナイポール研究者Tさんから、「id:toshimさんと飲んでいて、「ナイポールなんて田舎の高校生じゃないか」と言われたんですよ」との発言があって、申し訳なかったのですが、ワラタ。

さて、Nさんのオススメナイポールはこれ。

The Enigma of Arrival

The Enigma of Arrival

イングランドのネタなのですが、さんざんイスラムを叩いているナイポールの、これは屈折したイングランド観が読める作品だとのことで、買ってみる予定。

京王線仙川駅近くの中華料理屋で飲み会があったので、ビールを飲んできましたが、1年ぶりにお会いしたHさんなどと馬鹿話をしていて、ナイポールみたいにお金を稼ぐなら、文部科学省&外務省推薦で映画『神武東征』を撮ったらいいんじゃないかということになりました。神武天皇役の俳優は当然韓国人俳優でやったらいい、というのは私の意見。