拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

比較文学演習Ⅰ、2学期終了

これをテクストに選んだときはどうなることかと思ったし、実際受講者諸君はアタマを抱えていたのだが、しかし「記憶」「証言」「加害者/被害者」「母性」といった問題系を設定しつつ、少しずつ読み進めることで、このテクストの面白さが多少なりともわかってもらえたかと思う。というのは、今日書いてもらったレポートがなかなか優れたものだったからだ。
そのうちの一つ。ある国語の教科書には茨木のり子さんの『ハングルへの旅 (朝日文庫)』(の抜粋なのだろう)が載っていて、そこに尹東柱さんの「たやすく書かれた詩」があった、*1今回李さんが自分の作品の中で同じ尹さんの作品を引用していたのだが、教科書で読んだときとは印象がだいぶ違った云々・・・いやあやっぱりテクスト的な「出会い」だよ大事なのは、とか思ったのでした。
3学期も実験的なテクストを扱ってみようか、という気になってきたのでした。『私という旅―ジェンダーとレイシズムを越えて』かなあ、それとも『女性・ネイティヴ・他者―ポストコロニアリズムとフェミニズム』かなあ。

*1:しかし授業では茨木さんの作品はすっ飛ばしたので、この学生さんは自分で勝手に読んでいたんだそうだ。うーむ。