拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

第3章と第5章のあいだ

中世の言語と読者―ラテン語から民衆語へ

中世の言語と読者―ラテン語から民衆語へ

ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)』の第3章と第4章の間、あるいは第4章と第5章の間に、ラテン語は崩れロマンス語が生まれてくる。これは第3章と第5章の引用を読み比べるとはっきりわかる。前者はラテン語であり、後者(『ロランの歌』)はフランス語に近い。この間に何が起こっていたのかは第4章を読めばわかる、ということなのだが、なにせ500年間に起こったことをたった一章(ツールのグレゴリウスによる『フランク人の歴史』)でカバーするのは無理。というわけで、この本が存在する。
ひさしぶりにゆったりした時間がある(本当は書かなければならない原稿があるのだが)。あるモノが何かに転成するときのダイナミズム。面白いとしかいいようがない。