拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

 なんで宇佐見太市論文を読んでいなかったんだろうorz

CiniiとかGoogle Scholar等々でそこそこチェックはしていたはずなのだが、なんとこの論文を見落としていた。宇佐見太市「日本の英文学研究」考」、『関西大学国語学部紀要』(第9号、95-116頁、2013年)。宮崎芳三『太平洋戦争と英文学者』(1999)が言及されているし(拙著への言及はない)、これは読まないといけない。特に以下の、松本寛についての議論からは多くを学ばないといけない。桝井迪夫についてはある程度知っているんだけれど。

松元寛は、桝井迪夫と同じく広島大学教授として多くの教え子を育成し、日本の英文学界に貢献した学者であるが、彼は英文学の業績のみならず、戦争と平和に関する言説も残している。松元寛は、史上はじめて核兵器を投下された広島の地にあって、戦争と平和の問題に真正面から真摯に向き合った英文学者のひとりであった、と筆者は認識している。筆者は、上述の桝井迪夫の戦時中の仕事と同様、松元寛の戦争と平和に関する戦後の仕事をも、実践知性としての英文学研究の一例として捉えたいと思う。

http://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/09/095usami.pdf

戦争と平和の問題に真正面から真摯に向き合った英文学者のひとり」松本と、「真正面からは被爆の問題に向き合わなかった(これは微妙なのだが)」との清水の比較もいいかもしれない。